今月のくるみパン

そばの香りが口に広がるそば粉のくるみパン「戸隠」/マールツァイト

VOL.16

そばの香りが口に広がる
そば粉のくるみパン「戸隠」

マールツァイト

低温殺菌の牛乳で作るミルク酵母のパン

マールツァイトのパン作りは「安全で安心に食べられて美味しいこと」。「パンは毎日食べるもの。生産者の顔が見えるものをできるだけ使っています」とパンを焼く田澤弥生さんは話します。自家製酵母と雑穀、オーガニック素材を使って作られたパンを売るお店は、今でこそ多くなりましたが、店を開いた15年前にはまだ珍しい存在。理解と共感を得るのには苦労もあったそうです。

ここのパンで珍しいのが、ミルク酵母を使っている点です。「牛乳は栄養のバランスがいいので、体にいいパンができる」とオーナーの白井幸子さん。使われるのは63℃で30分加熱した低温殺菌の牛乳のみ。手間ひまかけて、健康で衛生的な牛を飼育することなしには取れない牛乳なのです。味見をさせてもらうと、牧場で飲むような牛乳本来の味と新鮮みを感じる美味しさでした。マールツァイトのパンは、ここから酵母を起こして焼き上げられます。

「マールツァイト」外観写真

店を飾る手描きの絵は、白井さんのご主人によるもの。夢にあふれた温かいタッチの絵が、手作りを大切にするマールツァイトの魅力を一層伝えます。



群馬県・東毛酪農の「みんなの牛乳」の写真

自家製酵母に使われている群馬県・東毛酪農の「みんなの牛乳」も販売。小さなお子さんを持つママにも人気だそうです。

そば粉の風味とくるみが好相性の「戸隠」

また、全粒粉やライ麦、玄米、キヌアなどの雑穀が使われるのも特徴です。「自分の好みもありますが、雑穀を使うことで味わいが深くなるので全部のパンに使っています」と白井さん。今回紹介してもらったくるみパンもそば粉のパン。「戸隠」と名付けられたそのパンは、長野県小諸市の農家のそば粉を使った、開店以来の人気を誇るパンです。ミルク酵母の持ち味か、酸味は控えめ。くるみのほのかな渋みと香ばしさが、そば粉の風味を引き立ててくれます。チーズ鑑定士の資格を持つ白井さんのおすすめは、山羊のチーズと合わせることだそうです。

「戸隠」写真

「戸隠」はホール600円、ハーフ300円(税抜)。ずっしりした生地に、そばとくるみの香ばしさが凝縮されています。ハチミツと合わせても美味しかったです。

ブルーチーズに合う全粒粉の「ノア・レザン」

一方、「ノア・レザン」は、生地とレーズン、くるみのバランスが良いと評判です。生地は全粒粉を少し加え、深い味わいに。「ブルーチーズと合わせると、より美味しく召し上がっていただけますよ」と白井さん。この日はほかに、カマンベールとくるみを合わせたパンや、人参とくるみのキッシュも店頭に並んでいました。どのパンもミルク酵母のためか体に優しい味わいで、その中でくるみがアクセントになっています。

長野県出身の白井さんにとって、くるみは汁物や和え物などの料理のみならず、時には床を磨く道具としても、幼い頃から慣れ親しんだ食材だそうです。「くるみは少しでも主張するし、後を引きます。パンに使えば味わいを深めてくれるんです」

「ノア・レザン」写真

生地と具材のバランスのいい「ノア・レザン」。決して派手ではないけれど、毎日食べたくなる優しい美味しさです。ホール600円、ハーフ300円(税抜)。

美味しく体にいいパンを提供するという信念

開店以来、白井さんと共にパンを作り続ける田澤さんは、白井さんのパン作りに対し「信念を持ち、いいものを作り続ける姿勢を尊敬しています。自分のためでなく、徹底してお客様のために安全で美味しいものを提供したいという気持ちがあるんです」と話してくれました。

今では健康志向の人はもちろん、「食欲がないから、ここのパンを買いに来た」という人もいるほど、常連客からの信頼は厚いそうです。パンはもちろん、おふたりの明るい笑顔に接すると元気になれそうな素敵な店でした。

>オーナーの白井幸子さん(右)と田澤弥生さん(左)

明るく元気なオーナーの白井幸子さん(右)と田澤弥生さん(左)。田澤さんは白井さんが開店前に開いていたパン教室の生徒さんだったそうです。

【マールツァイト】
東京都文京区大塚3-15-7
TEL/03-5976-9886
営業時間/11時〜19時
定休日/日曜・祝日
アクセス/丸ノ内線茗荷谷駅から徒歩10分
http://www.mahlzeit.jp/