今月のくるみパン

創業100年の味が息づく素朴なパン「くるみ・レーズン・クリームチーズ」 / 喜福堂

VOL.24

創業100年の味が息づく素朴なパン
「くるみ・レーズン・クリームチーズ」

喜福堂

1916(大正5)年から続く味を守る四代目女性店主

巣鴨駅が最寄となる「とげぬき地蔵尊」の名で知られる高岩寺。そのはす向かいで営業するパン屋さんが、今回訪ねた「喜福堂」です。「1916(大正5)年、初代金子喜三郎が深川で『喜楽堂』という屋号で創業しました。関東大震災後に巣鴨に移転し、後の東京大空襲で被災しながらも店を再建。その後に、初代喜三郎と妻フクの名に由来して『喜福堂』と改め、現在に至ります」と語るのは、四代目店主の金子摩有子さん(以下、摩有子さん)です。


和菓子職人だった二代目がつくる餡(あん)と、三代目のパン生地で完成させた「喜福堂のあんぱん」が、当店の看板商品。祖父と父が遺した味を今も変わらずに守り続ける摩有子さんは、「2016年に創業100周年を迎えますが、その重みは感じています」と、長い歴史に敬意を払います。あんぱんは今でも一日に500個も売れる人気商品ですが、クリームパンや季節限定のりんごぱんなど、四代目を引き継いだ摩有子さんは、今の時代にマッチしつつも、店の伝統を尊重した素朴なパン作りを続けています。

喜福堂 店舗外観写真

巣鴨駅が最寄となる「とげぬき地蔵尊」の名で知られる高岩寺のはす向かいで営業する「喜福堂」。1916(大正5)年創業、2016年に100周年を迎える歴史あるパン屋さん。あんぱんは一日に500個も売れる看板商品です。



喜福堂 店舗内観写真

歴史を感じさせるおもむきのある店内。店内にはテーブル席が8つ設けられ、狭山茶緑茶とあんぱんのセットなど、甘味メニューが召し上がれるイートインスペースも。夏にはかき氷のメニューも楽しめます。

くるみの香ばしさとやさしい生地が絶妙な「くるみ・レーズン・クリームチーズ」

そんな喜福堂で味わえるくるみパンのひとつが「くるみ・レーズン・クリームチーズ」(324円税込)です。「くるみ、レーズン、クリームチーズの組み合わせはとても相性がいい」(摩有子さん)という発想で生まれたパンだそうですが、そこには女性らしい心配りも。「食物繊維、鉄分、ビタミンなど、女性がうれしい栄養素を考えて作りましたね」と、摩有子さん。栄養素に配慮しつつも、くるみの香ばしさ、レーズンのほのか甘み、クリームチーズのかすかな酸味がどれも主張し過ぎず、やさしい生地に包まれて、素朴で絶妙な味わいを生み出しています。もちろんそのまま食べても十分においしいのですが、「スライスしてトーストしていただくと、くるみとレーズンの香りが立っておいしく召し上がれますよ」と、摩有子さんがおっしゃるとおり、トーストでいただくのもおすすめです。

「くるみ・レーズン・クリームチーズ」写真

「くるみ・レーズン・クリームチーズ」(324円税込)。くるみの香ばしさ、レーズンのほのか甘み、クリームチーズのかすかな酸味がどれも主張し過ぎず、やさしい生地に包まれて、素朴で絶妙な味わいを生み出しています。

くるみの香りが口一杯に広がる「シナモンロール」

次にいただいたのが、「シナモンロール」(184円税込)。「リーズナブルな菓子パンを提供しようと考えて作りました。ちょっと小腹がすいたときなどに、召し上がっていただく商品のひとつですね」と摩有子さん。一見シュガークリームのかかった普通のパンのようですが、中身にはほのかなに香るクラッシュ状のくるみとシナモンが入っています。「食感としてのアクセントを出すためにくるみを使っています。シナモンとグラニュー糖の甘みだけでなく、くるみが入ることによって奥行きのある甘みが出て、香りが口一杯に広がります」(摩有子さん)。くるみがあるのとないのとでは香りがまったく違うのだとか。懐かしい味わいのシュガークリームのおかげで、シナモンが苦手な小さなお子さんでも食べやすい味に仕上がっています。

「シナモンロール」写真

「シナモンロール」(184円税込)。食感としてのアクセントを出すために使ったくるみの香りが口一杯に広がる、シンプルで素朴な生地のパン。懐かしいシュガークリームの味わいも楽しめます。

100年の歴史を受け継いだ四代目女性店主の決意

「くるみの味は間違いなくおいしいですし、パンと相性がいいので使いやすい。パンに組み合わせる上では最適な食材のひとつですよね」と摩有子さん。また、栄養価が高いので身体にもいいという、女性らしい視点で食材としてのくるみに注目されていました。


「お店がどういった方向に歩んでいくか、今年(2015年)はとっても大事な1年になります。守り続けていることのほかに、新しい喜福堂を築き上げるため、日々模索中です。祖父が残してくれたあんぱんがこの先もメイン商品にはなりますがそれは大事にしつつ、自分たちらしさが固まってくればいいですね。まだまだ可能性はありますから」(摩有子さん)。100年の歴史を受け継いだ四代目女性店主の決意。創業100年を迎える喜福堂の新たなパンに、期待せずにはいられません。

四代目店主の金子摩有子さん写真

2016年に100周年という節目を迎える喜福堂。創業者の初代・金子喜三郎氏から数え、四代目店主を引き継いだ摩有子さん。今の時代にマッチしつつも、店の伝統を尊重した素朴なパン作りを続けています。

【喜福堂】
・住所/東京都豊島区巣鴨3-17-16
・TEL/03-3917-4938
・営業時間/10:00~20:00(売り切れ次第終了)
・定休日/火曜日(祭日と縁日4がつく日)は営業
・アクセス/都営地下鉄三田線「巣鴨」駅A3出口徒歩5分      /JR山手線「巣鴨」駅下車徒歩10分
・URL/http://kifukudo.com/index.html