今月のくるみパン

人形町で出会ったなつかしい味「くるみメロン」/サンドウィッチパーラー まつむら

VOL.30

人形町で出会ったなつかしい味
「くるみメロン」

サンドウィッチパーラー まつむら

創業大正10年。人形町で出会った老舗のパン屋さん

多くの老舗が並ぶ日本橋人形町。今回訪ねた「サンドウィッチパーラー まつむら」も、長い歴史を誇る老舗のひとつです。「創業は大正10(1921)年。先代、私たち、そして息子と3世代続いてます。子どものころに連れて来られた方がお父さんやおじいちゃんになっても来られるので、お客さんも3世代」と笑うのは、2代目で会長を務める松村守夫さんの奥さん、牧子さん。80歳を超えてなお、お店の調理パンを切り盛りする現役のパン職人です。笑顔で話す牧子さんの人柄もあってか、人形町で90年以上も続くお店は、とても和やかな雰囲気に包まれてています。


「とくにお店の雰囲気づくりにこだわりはなくて、自然と和やかな感じになっていったの。昔から来てくれるお客さんが多いでしょ。だからお客さんとは親しいし、それがそのままお店の雰囲気になったのかしらね」と牧子さん。お店に並ぶパンも、素朴でやさしい表情のパンばかり。「先代のころから作っているのがアンパン、ジャムパン、クリームパン、ブドウパン。もちろん時代に合わせて、新しいパンもどんどん取り入れているから、ずっと来ているお客さんも飽きないと思いますよ」と牧子さん。レトロなショーケースには、新旧さまざまなパンが毎日120種ほど並び、朝早くから来店されるお客さんも多いそうです。

サンドウィッチパーラー まつむら店舗外観写真

大正10(1921)年創業の「サンドウィッチパーラー まつむら」。多くの老舗が並ぶ日本橋人形町で、90年以上もの歴史を誇る老舗のパン屋さんです。



サンドウィッチパーラー まつむら店舗内観写真

創業当時からほとんど変わらないレトロなショーケースには、新旧さまざまなパンが毎日120種ほど並び、朝早くから来店されるお客さんも多いそうです。

ローストしたくるみをトッピングした「くるみメロン」

どのパン屋さんでも定番のメロンパンですが、当店ではプレーン、メープル、そして「くるみメロン」(165円税込)と、3種類のメロンパンを提供しています。「くるみという材料をどう使おうかと考えたとき、メロンパンとの組み合わせが思いついたのね。ローストしたくるみをトッピングした、ちょっとめずらしいメロンパンだと思いますよ」と牧子さん。ローストされたくるみの香ばしさ、外側のクッキー生地のしっとりした甘さ、内側の生地のほんのりした甘さと、3つの風味が口の中で広がるだけでなく、昔ながらのなつかしい味わいに、ほっとさせられます。「パンを横半分にスライスしてチーズを乗せて、トーストしてから食べると最高よ。くるみと外側の生地が香ばしくなって、とろけるチーズとの相性がよくて、私なんか大好きで毎日でも食べちゃう」と牧子さん。おすすめの食べ方は、日々お店に立つ牧子さんの元気の源になっているようです。

「くるみメロン」写真

「くるみメロン」(165円税込)。ローストしたくるみをトッピングしたちょっとめずらしいメロンパン。当店では「メロンパン」(120円税込)や「メープルメロン」(130円税込)と3種類のメロンパンを提供しています。

くるみとレーズンがぎっしりつまった「ノアレザン」

メロンパンと同じく定番なのがくるみとレーズンのパン。もちろん当店でも「ノアレザン」(360円。1/2サイズ180円。ともに税込)は人気商品です。「見た目がこげ茶色なのは胚芽(はいが)を使っているため。胚芽の入った小麦粉と普通の小麦粉を混ぜて生地をつくっているから、こんな風に独特な色になるのよ」(牧子さん)。外側はパリッと固めで内側はしっとり。どこをスライスしてもくるみとレーズンがぎっしりつまった重量感のあるパンです。「このパンができた当初、語学堪能なお客さんがフランス語でくるみとレーズンを意味する『ノアレザン』って名付けてくれたの。最近ではよく聞くけど、ノアレザンって名付けたのはウチが発祥かもしれないね(笑)」と発売当時を振り返る牧子さん。今ではすっかり浸透した「ノアレザン」という呼び方ですが、発売当時はモダンな名前のパンとして、人形町で人気を集めたようです。

「ノアレザン」写真

「ノアレザン」(360円。1/2サイズ180円。ともに税込)。胚芽(はいが)が入った生地のパンはどこをスライスしてもくるみとレーズンがぎっしりつまった重量感のあるパンです。

今なおパンづくりは「やっぱり楽しい」

「やわらかいパン生地にくるみが入ることで、食べたときに『コツン』とした歯触りがいいわよね。ローストしたくるみは香りが立ってパンとの相性もいいし。ウチでは菓子パンを中心に使っていますよ」とくるみの印象を話す牧子さん。今も昔も、くるみは当店の菓子パンづくりに欠かせない食材のひとつです。


創業者である先代。次の代を受け継いだ牧子さん、ご主人の守夫さん、守夫さんの双子の弟・民夫さん。そして現在、当店の舵取りは牧子さんの息子さんへと受け継がれています。「同じ土地で長く商売するために一番大事なことは、取引先を変えないこと。お互いを信用しあって取引を続ければ、良いときも悪いときも支え合えますからね」という牧子さんの言葉に、長い歴史の重みを感じます。


「あれこれいいと言われても添加物などは一切使わず、自然の材料だけでつくる。昔ながらの製法を続けているだけですよ」と語る牧子さん。今でもパンづくりは面白いそうで、「仕込んだときには小さかった生地のタネが、大きくふくらんでパンになるんだもの。やっぱり楽しいわよね」と、うれしそうに話してくれました。昔ながらのなつかしい味。そんなパンが食べたくなったら、人形町を訪ねてみるのもいいかもしれません。

ご主人の守夫さんと牧子さん

ご主人の守夫さん(左)と牧子さん(右)。守夫さんの双子の弟・民夫さんとともに先代から受け継いだ店の舵取りは息子さんへと受け継がれ、今では小伝馬町(中央区日本橋堀留町2-4-5)にもお店を出店しています。

【サンドウィッチパーラー まつむら】
・住所/東京都中央区日本橋人形町1-14-4
・TEL/03-3666-3424
・FAX/03-3668-5637
・営業時間/月~金7:00~18:00、土7:00~15:00
・定休日/日曜日、祝日
・アクセス/半蔵門線「水天宮前駅」徒歩約1分
      日比谷線「人形町駅」徒歩約2分
      浅草線「人形町駅」徒歩約2分
・URL/http://sandwich-parlor-matsumura.com/