今月のくるみパン

香ばしさと爽やかさが調和した「くるみとオレンジ」/パン工房 グラーティア

VOL.32

香ばしさと爽やかさが調和した
「くるみとオレンジ」

パン工房 グラーティア

生活に寄り添ったパンを提供する街のパン工房

JR南武線の西国立駅から徒歩数分。住所としては立川市となる、静かな住宅地の一角で店を構える「グラーティア」は、街の小さなパン工房です。「この地に店をオープンしたのが2014年6月なので、まだ年数の浅いパン工房ですね」と語る店主の石黒健司さん。「西国立の良さはのんびりしているところですかね。みなさん庶民的でフレンドリーです。敷居の低い気さくな店として営業しているせいか、ご近所の方もおしゃべりに来る感覚で来店されるので、ありがたいです」とお客様に感謝する石黒さんは、この街に住む人々の生活に寄り添ったパンを提供し続けたいと考えています。


そんな石黒さんの想いは「グラーティア」という店名にも込められていて、ラテン語で「感謝」という意味があるそうです。「基本的には一人でパンを焼いているので、一度にまとめてパンを焼き上げるのではなく、天候やパンの売れ行きに応じながら、都度パンを焼いています」と石黒さん。主婦層が多いお昼どきと、仕事帰りの男性が多い夕方どきと、それぞれ焼き分けながら、日々50~60種類ほどのパンを店頭に並べています。そんな石黒さんが力を入れているのが、シンプルにつくることにこだわったハード系のパン。今回いただいたくるみのパンも、そんなこだわりが感じられるパンでした。

パン工房 グラーティア店舗外観写真

JR南武線の西国立駅から徒歩数分の静かな住宅地の一角で店を構える「グラーティア」。店名はラテン語で「感謝」という意味で、2014年6月にオープンした街の小さなパン工房です。



パン工房 グラーティア店舗内観写真

シンプルにつくることにこだわったハード系のパンを中心に、さまざまなパンが並ぶ店内。天候やパンの売れ行きに応じながら石黒さんがお一人で焼き上げるパンは、日々50~60種類ほど提供されています。

香ばしいくるみが30%も入った「くるみとオレンジ」

「くるみとオレンジピールの組み合わせが合う」と思いついて考案されたのが、「くるみとオレンジ」(380円税別)です。小麦のほかに、ライ麦と全粒粉をそれぞれ25%ずつ配合した生地は、一見ずっしりと重量感がありながら、香ばしくローストされて甘みが出たくるみと、爽やかなオレンジピールとの効果のおかげで、重たさやしつこさがまったく感じられず、とても食べやすい仕上がりになっています。「味の強いオレンジピールに負けないようにくるみを30%も入れているので、ごろっとしたくるみの食感が味わえます」と石黒さん。焦げやすいオレンジピールが表面に出ないよう、生地の中に巻き込むなど、仕込みと焼きとで2日を要するパンですが、そのひと手間がおいしさにもあらわれています。「自宅で召し上がるなら、せっかくの適度な水分が飛んでしまうので、"焼く"のではなく"温める"のがおすすめですね」(石黒さん)。

「くるみとオレンジ」写真

「くるみとオレンジ」(380円税別)。香ばしくローストされて甘みが出たくるみと、爽やかなオレンジピールとの効果のおかげで、重たさやしつこさがまったく感じらず、とても食べやすい仕上がりになっているパンです。

レーズンとくるみをふんだんに使った「ライロジーネン」

もう一方のくるみを使ったパンは、細長い形状が特徴の「ライロジーネン」(180円税抜)。「ドイツ語でレーズンを意味するこのパンは、レーズン30%、くるみ20%が入っています。生地にはライ麦を20%配合し、カリッと香ばしい外側と、もちっとやわらかい内側の食感の違いが楽しめます」と石黒さん。レーズンの自然な甘みと、ローストすることで感じられるくるみの甘みと、2つの甘みを同時に楽しむことができます。細長い形状のため、どこをかじってもくるみを存分に味わえ、くるみが持つ自然な油分も感じられ食欲がそそられます。「レーズンの甘みを活かした甘いパンということに加え、歩きながらでも食べやすいようにスティック状に焼き上げていることが、お子さんに人気がある理由かもしれませんね」と石黒さん。しっかりしたハード系の生地のため、お子さんはもちろん、大人も十分に食べ応えを感じられるパンです。

「ライロジーネン」写真

「ライロジーネン」(180円税抜)。「ドイツ語でレーズンを意味するこのパンは、レーズン30%、くるみ20%が入っています。生地にはライ麦を20%配合し、カリッと香ばしい外側と、もちっとやわらかい内側の食感の違いが楽しめます」(石黒さん)。

まじり気のないシンプルなパンをつくる

「くるみという食材は万能で、いろいろな食材に合うと思いますね。何かパンを考案するとき、歯ごたえだったり、トッピングだったり、もうひとつ何かほしいなと困ったときに、くるみはとても重宝していますよ」とくるみの印象を語る石黒さん。手軽に手に入るくるみは、ナッツ類のなかでもとくに身近な存在だと感じているようです。


味に深みを与える自家製の発酵だねを使うことで、当店ならではの個性的な味わいのパンを焼き続ける石黒さん。「できるかぎり添加物の入っていない素材を選び、具材も含めてほとんど自分でつくっています。既成に頼るのではなく、なるべく自分で手をかけて、できるかぎりまじり気のないシンプルなパンをつくるように心がけています」(石黒さん)。


食パン、カンパーニュ、バターロール、クロワッサンなどシンプルなパンづくりを中心に工房に立つ石黒さんは、新たなパンの構想も描いていました。「もっと国産素材にこだわって、日本の風土や気候に合った日本らしいパンがつくれたらいいですね。麹、醤油、味噌など日本には素晴らしい発酵食材がたくさんあるので、そんな日本の食材を使ったパンをいつかつくってみたいですね」。ラテン語で「感謝」という意味の当店に、いつの日か日本らしい新たなパンが並ぶかもしれません。

店主の石黒健司さん

味に深みを与える自家製の発酵だねを使うことで、当店ならではの個性的な味わいのパンを焼き続ける、店主の石黒健司さん。なるべく自分で手をかけて、できるかぎりまじり気のないシンプルなパンをつくるように日々心がけて、パンを焼き続けています。

【パン工房 グラーティア】
・住所/東京都立川市錦町4-4-5 大山ハイツ102
・TEL・FAX/042-512-8667
・営業時間/9:30~19時
・定休日/水曜日、第1・3木曜日
・アクセス/JR南武線「西国立」駅より徒歩約5分